土地なし残余地

東京都八王子市横川町


 「うす〜い建物」ならぬ「うす〜い残余地」の登場。しかし冷静に考えてみると、これは「うす〜い」どころでは済まされない。そこに土地が存在しないではないか。土地が余ってもいないのに「残余地」を作ってしまうあたり、東京人のシュールさが溢れ返っている。
 ここは住宅団地の入口。本当は「坪庭」「玄関口」のような三次元の玄関が欲しかったが、土地事情により二次元になってしまった。だが決して後ろの擁壁に寄り掛かったりはせず、全ての要素が自分の脚で立っているのが微笑ましい(約1名、疲れて寝込んでしまったようだが)。東京には人間1人分の幅しかない建築物もあれば、看板1枚分しかない残余地もあるということだ。
 ちなみにドブと擁壁の間に生じたこのスペースのことを、土木用語では「犬走り」と呼ぶらしい。もっとも、この狭さでは小型犬ですら間違いなくドブに落下してしまいそうな気がするが…。


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