玄関口
東京都八王子市O
宅地開発で余った部分が、住宅団地の玄関的役割を果たす。どうも住宅団地の入口部分には、このような残余地がよく見られる。団地内の格子状道路が従来の曲がりくねった道路に接続するとき、どうしても直角以外の角度で交わるので、建蔽地としては使えないような微妙な大きさの角地が生まれ易いわけだ。かくして生まれた残余地は人間の動線にもフィットしていて都合がいい。毎朝出勤しながら、ここで手紙を出して、ゴミを出して、掲示板で情報収集を行うことが可能。どうやらO団地住民には、ながら族が多いらしい。くれぐれもゴミ置き場に手紙を出したり、通勤カバンを出してしまったりしないように。訪問客にとっても、入口に住宅地図が用意されているので迷う心配は無くなる。
八王子市の丘陵部には、「○○住宅団地」と「○○大学」が数多く建ち並ぶ。どちらも緑に囲まれていること、土地が広いこと、それでも一応都内であることを謳い文句に増殖したものだ。「東京の大学に入ったつもりが、自分の田舎よりも田舎だった」というありがちな話、それは紛れもなく東京都八王子市に対する侮辱である。
マイカーを持つ学生にとっては、残余地の前などは格好の駐車場である。閑静な住宅団地はたちまち大学生の駐車場と化す運命にある。住民も大学側にあちこち駐車禁止の警告を立てさせて、とても必死な様子が窺える。