ドラ・パターンの法則
■はじめに――ドラえもん原作パターン観察学会(ドラ・パターン)の趣旨
ドラえもんはパターンマンガである。
長寿漫画とは、とにかくワンパターンなものだ。「サザエさん」のアニメを観てみよう。毎年毎年、大掃除をするたびに家具やバケツの取っ手が外れ、それを運んでいる者が「いやぁ、持ってみると意外と軽いもんだねぇ」などとボケをかましている。少年ジャンプで25年以上連載が続いている「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は、オチがワンパターンだ。両さんにキレた部長が派出所に武装襲撃をするというオチが、今までに何回あっただろう?。演出をワンパターン化したからこそ、これらの作品は長寿作品になり得たのだと言える。そして、「ドラえもん」もこの例外ではない。
ドラえもんの作者、故・藤子・F・不二雄氏はパターンマンガの鬼才である。彼は自らが生み出した「日常SFギャグマンガ」というジャンルの中で、ワンパターンな演出を漫画技法として確立させた。必要最小限の線と必要最低限のネタで、同じようなストーリーをくり返しくり返し編み出してゆく。きわめて生産性に優れた手法だ。
このような行為は「焼き直し」と呼ばれ、世間では蔑まれている。「藤子・F・不二雄は焼き直し漫画の鬼才なのだ!」なんて言ったら、熱心なFファンに糾弾されそうで怖い。だが考えてみてほしい。F作品における「焼き直し」は、子供向けの漫画としてより分かりやすく、より面白くするために厳選されたネタの集大成ではないだろうか。最小限のネタを組み合わせ、無数の作品を生み出せるこの技術こそ、F先生の真の才能ではないかと思って止まない。
焼き直し=芸術
以上の定義を前提に、このサイトではF作品に見られるパターン(法則性)を、「ドラえもん」という作品を事例に分析&紹介しているのである。決してF先生のことをけなしたサイトではないということを理解していただきたい。
世界にはミニマル・ミュージックとかミニマル・アートというものがある。これらは音や色や形や、はたまた道具を極度に簡素化して制作された芸術である。必要最小限の要素を何度も何度も表出するうちに、鑑賞者の潜在意識を引き込んでゆく効果があるという。F先生の日常SFギャグマンガにも同じことが言えるのではないか。実際、自分がドラえもんファンとなった理由は、そのワン・パターンな展開を何度も何度も読んでいるうちに潜在意識が作中世界に引きずり込まれてしまったからだ。しかもそれが幼少期だったものだから、作中世界が自分の原風景のようになってしまった。F作品の単行本を開いて、あの最小限の線とネタの世界を見るたびにある種の懐かしさすら覚えるのである。そういった個人的な体験からも、F先生の焼き直しは芸術だと確信している。
■このサイトの構成
序章には、当サイトの趣旨・注意事項について書き記した「ドラ・パターンの法則」(今開いているページ)と、「ドラえもん」の外郭的なパターン性について言及した「キャラとストーリーの法則」が置かれている。
第一章では、「パターンネタの法則」と称して、作中に見られる数々のワンパターンな演出を採集している。
第二章では「パターンオチの法則」と称し、ワンパターンなオチを採集している。
第三章では「その他の法則」と称し、まだ独立コーナーを作るに至っていない小ネタ(だが奥が深い)を集めている。
終章は、更新情報(「進化の法則」)や掲示板(「パターン報告書」)など、事務的なコーナーが集約してある。
これらのコーナーを通じて、「ドラえもん」を読む時のもうひとつの愉しみを発見していただけたら幸いである。
■略号について
単行本からの出典は、以下の略号で表している。2004年12月26日より全コーナーで統一した。
TC | 一億部突破の小学館てんとう虫コミックス。普通「ドラえもんの単行本」と言えばこれを指し、これに収録されていない作品は「未収録作品」と呼ばれる。 |
FF | 中央公論社から「藤子不二雄ランド」として出されていたコミックス。未収録作品も多く収録されているが、かなり昔に絶版。2004年以降の再録ブームが訪れる前までは、TC未収録作品に触れるには古本屋でこのコミックスを探してくるしかなかった。よってTCとセットで扱われることが多い。 |
大長編 | 小学館てんとう虫コミックスの大長編ドラえもん。 |
CS | 小学館のカラー作品集。低学年向けのカラー作品を集めたもので、全てTC未収録。 |
PK | 小学館のぴっかぴかコミックス。低学年向け作品を集めたもの。TC収録作品と未収録作品が混在。 |
文庫 | 小学館コロコロ文庫。ただしこれにしか収録されていない作品といえば、〔ドラミ編〕収録の「ドラえもんとドラミちゃん」くらいなので、ほとんど使わない。 |
ぼくドラ | 小学館「ぼくドラえもん」付録の未収録作品スペシャル。賛否両論はあれど、このように未収録作品を世に出してくれるのは自分のようなベタなファンにとっては大変ありがたい。 |
未収録作品 | 以上のいずれにも収録されていない作品。 |
ヒエラルキーは上>下で、上に行くほど優先順位が高い。例えばFFとCSの両方に収録されている作品は、FFと表記される。
■注意事項
【1】ドラえもん原作パターン観測学会「ドラ・パターン」は管理者(HN:Ain_Tain)による個人運営のサイトであり、小学館様・藤子プロ様・中央公論社様・テレビ朝日様方とは一切関係ありません。正式名称に「学会」とありますが、当サイトは如何なる団体にも属しておりません。
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【5】当サイトは専門知識のない素人の一読者によって作られたサイトであり、「ドラえもん」原作の「作品分析」・「観賞」を目的としています。製作・編集サイドの方々への無責任な「批判」・「評論」は行っておりません。(自戒を込めて言うのですが(笑))
■リンクについて
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