ポスト・モダン角地

長野県


 芸術的な造形を施した塀が視界の前に立ちはだかり、通行人はその三角地の「機能」を知ることができない。
 戦後の高度成長期において、日本の街に機能性ばかりを追求した四角いビルばかりが建てられるようになると、それらはやがて「豆腐を切ったような建物」とか「エアコンの室外機などは背中に無数に貼られた湿布のよう」などと揶揄され、「機能」を前面に出した景観が忌み嫌われるようになった。建物の表層は次第に「装飾」により「機能」を覆い隠すことを覚え、当物件のような残余地も例外ではなかった。最近では後者の景観が安直であるなどと批判の槍玉に挙げられているが、当物件に限って言えばなかなか粋な雰囲気を醸し出していると思える。


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