道祖岩

東京都八王子市K町


 Y字路の股間に打たれたこの巨大なピリオドは、我々通行人が経験する道の記憶に強く焼き付けられ、アイストップ(すなわち町角の目印)として機能するであろう。「じゃ、午後3時に岩の所で」と待ち合わせ場所にする子供もいるかもしれない。
 「ここが公道と私有地の境界だぞ!」という意思表示のために、わざわざトラックで石屋から運んできたのだろうか(まさか元々岩が放置されていた所に、後からY字路が生まれたわけじゃ…)。ここに岩を置いたがために、玄関の変更を余儀なくされているのが面白い。残余地が狭くなれば狭くなるほど、その余白を誤魔化すのに試行錯誤がなされるのだ。
 尚、これと同様の物件が『メイド・イン・トーキョー』(貝塚・黒田・塚本,2001)のP166にて「ペット建築」として紹介されている。ペット建築とは、狭小の敷地に建つべくして建てられたペットサイズの建物のことである。


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