白髪と小皺と本音の法則

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■本音と建前

 どういうわけかこの漫画には、「しらが」とか「小じわ」という単語がやたら出てくる。この漫画の少年達は、こぞって母親の白髪や小皺の本数について言及しているのだ。自分も「小じわ」という単語を、この漫画で覚えたほどである。「しらが」はともかく、「小じわ」なんて言葉は日常会話でそんなに使われないと思うのだが……。

 「しらが」と「小じわ」は、主に本音と建前の乖離を示すシーンで使われる。よって、これを「白髪と小皺と本音の法則」と呼ぶ。

■白髪と小皺と本音の履歴

発見場所 発言者 本音 備考
TC4巻
「おばあちゃんのおもいで」
のび太 やあっ、やっぱり若いなあ。
でも、やがて小じわだらけになるけどね。
 それはのび太のせいだろう。
TC12巻
「ウラオモテックス」
スネ夫 おばさん、またしわがふえたね。できの悪い子供を持つと苦労するんだね。  「小じわ」じゃなくて「しわ」。
TC13巻
「タマシイム・マシン」
のび太 しらがが一本はえてた。  それはのび太のせいだろう―と言いたいところだが、ドラえもんが早かった。「君みたいな子をもてば、苦労するさ」と。
TC18巻
「テレパしい」
のび太 小じわどころかしらがまで出てきた。  それものび太のせいだろう。
TC32巻
「腹話ロボット」
スネ夫 やめて!!おかあさま!!おこると、小じわがふえるっていうよ。ママの美しい顔がしわだらけになるなんて、ぼくたえられない!!  母親の小皺の数をおべっかに流用できる少年など、全世界で彼1人くらいだろう。
のび太 やめてママ!!その美しい……、というほどでもない顔が、しわくちゃになるじゃんか。みるにたえないよ。  「ぼくは口べたで、いつもそんをしてる」って、そういう問題じゃないよ、君。教育上大変宜しくない漫画です。
TC39巻
「ジャストホンネ」
スネ夫 おばさん、また小じわがふえましたね。  彼はほんの挨拶のつもりですが、奥さんは大変憤っております。
CS1巻
「としの泉ロープ」
玉子 あら、いやだ。小じわが出てるわ。しらがも……。いやあねえ。もう一度若くなりたいわ。  本人公認の事実なのだからしょうがないか。
 初出は小学1年生。やっぱり教育上宜しくない漫画です。

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■結論

 のび太は秘密道具を使用しない状態でも、白髪・小皺ネタを暴発させている。天然である。彼が「小じわ」という言葉を頻繁に使うようになったのは、悪友・スネ夫の影響だろう。このネタはほとんどのび太とスネ夫の2者によって発生している。

 F先生は人間の本音と建前のウラオモテを最低限の線とパターンで露骨に表現し、子供達に訴えている。その人間のウラオモテを表すサンプルとして、”主婦の「しらが」と「小じわ」の本数”が選ばれたのだ。

 「のび太の甘えぶりが教育上に良くない」とか、「男にとって都合のいい視点で描かれていてムカつく」とか、何かと主婦に嫌われがちな「ドラえもん」であるが(「ドラえもん」というキャラクターの人気とは別に)、この白髪ネタや小皺ネタによって、F先生がさらに反感を買っているということはないだろうか。と、また余計な心配をしてみる。


〜「小皺と白髪と本音の法則」観測にご協力いただいた方々〜

春井風伝氏・KKK氏・黄 牛捨

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