スイカの皮の法則

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■♪こんなこといいな あんなことやらずにできたらいいな♪

 ドラえもんの秘密道具事典という類の本には、必ずと言っていいほど「すいかストロー」という秘密道具が紹介されている。TC11巻巻末の「ドラえもん大事典」にもしっかり載っている。で、この道具の説明を読むと、「スイカを割らずに中身が吸えるストロー」などと書かれており、ほとんどの読者は狐につままれた気分になる。どこでもドアやタイムマシンとはえらい違いである。一体何が楽しくて、スイカの中身を吸うためだけのストローなどが秘密道具として存在するのだろう?
 そう質問されても、「パターンだから」としか答えようがない。

本来、Aという行動の上に成り立つBという行動を、行動Aを端折って行う

 このパターンを「スイカネタ」と呼ぶことにする。上の定義文はややこしいが、実はとても分かりやすく、見た目で楽しむタイプのネタである。だから低学年向けのカラー作品に多い。1999年に「カラー作品集」が発行され、スイカネタは日の目を見るようになった。

■スイカネタ履歴

発見場所 行動 備考
TC7巻
「エスパー帽子」
 トイレに行かずに用を足す。  「キテレツ大百科」にも同様のネタが複数見られる。ちなみに連載当時は、家庭の便所に男子用小便器があるのが普通だった。
TC10巻
「XYZ線カメラ」
 本屋のマンガを開かずに、中身を丸ごと写す。  やってることは万引きと同じ。立ち読みよりひどい。
 おみやげの包装を開かずに、中身を品定めする。
TC11巻
「ドラえもん大事典」
 スイカを割らずに中身だけ吸う。  「すいかストロー」がTCに登場するのはここだけであるが、なぜかこの道具の知名度は高い。これは「スイカネタ」による刷込みのためだろう。
TC19巻
「海へ入らずに海底を散歩する方法」
 サブタイトルの通り、海水に浸からずに海底を歩く。  地球を大きなスイカと考えれば分かりやすい。サブタイトルの長さに、作者のこだわりが感じられる(?)。
TC33巻
「ユクスエカメラ」
 スイカを切らずに、中身の品定めをする。  立派な営業妨害では。止めさせろよ店員。
CS1巻
「ナカミスイトール」
 スイカを割らずに中身を取り出す。  低学年向け作品ならではの超安直ネーミング。「ナカミスイトール」という道具はROM機能のようなもので、スイカの中身を一度この中にセーブして、皿の上にロードする。
CS2巻
「中身ポン」
 ミカンの皮をむかずに中身を取り出す。  やたらとスイカネタが登場する話であるが、クリスマスの季節なので残念ながらスイカは登場しない。作者もスイカが出せなくて、さぞ悔しい思いをしたことだろう(?)。
 卵の殻を割らずに中身を取り出す。
 車のドアを開けずに運転手を放り出す。
 ポストの鍵を開けずに手紙を取り出す。
 岡持のふたを開けずにラーメンを取り出す。
 クリスマスプレゼントの箱を開けずに中身を取り出す。

 他にも発見された方は、掲示板で報告して下さい。

 ところで、「すいかストロー」が出てくる作品って存在するのだろうか?。ネオ・ユートピア発行の『ドラえもん完全作品リスト』で調べても載っていなかったのだが。本編に登場しないのに、ここまで認知度の高い秘密道具も珍しい。パターンのパワーは侮れない。


〜「スイカの皮の法則」観測にご協力いただいた方々〜

春井風伝

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