ライオンの法則

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■驚異の予知能力

 自分が「ドラえもんってなんかワンパターンだよな……」と思い始めたきっかけとなったのが、このネタだ。

秘密道具を手にした(中間)出力システムが調子に乗り始める。

妄想を膨らませる。
(猛獣を倒してみたい、など)

どういうわけか、秘密道具の効力とは何の関係もなしに、妄想がすぐさま実現
する。
(猛獣が出現する)

(中間)出力システムが災難に遭う。
(猛獣に襲われる)

 あるいはその逆で、(中間)出力システムが自信を喪失し、嫌な予感を抱くとその予感がすぐさま実現するというパターンも含む。そして、その猛獣というのは、ライオンである場合が多い。よって、このような現象のことを「ライオンの法則」もしくは「ライオンネタ」と呼ぶことにした。

■ライオンネタ履歴

肌色はF先生亡き後の大長編からの出典。F先生の作風を受け継ぐものとして、一緒に掲載。

発見場所 予言者 妄想 出現した猛獣 備考
TC2巻
「恐竜ハンター」
のび太 「ど、ど、どうか恐竜が出ませんように」 ティラノサウルス  「ドガア」という擬音は現在はジャイアンの怒りの表現として使われているが、最初はのび太の悲鳴だった。しかし悲鳴で「ドガア」って、一体どういうニュアンスなのだろう?
TC16巻
「宇宙ターザン」
のび太 「じょ〜だんじゃない、ここへ恐竜が出たらおしまいだ!出るな」 ティラノサウルス  これもキビダンゴの効力か?
TC24巻
「忘れ物おくりとどけ機」
スネ夫 ライオンを出せ」 ドラえもん  やけに用途が限定された秘密道具名だな。
TC31巻
「ターザンパンツ」
のび太 「今度はライオンなんか呼びたいな」 ライオン  「いいなりキャップ」の焼き直し。これがライオンネタ物件第1号である。
TC38巻
「夜空がギンギラギン」
のび太 「ジャイアンのなんか問題にならないから」 ジャイアン
TC38巻
「石器時代のホテル」
のび太 「恐竜狩りでもやってみたいね」 マンモス  恐竜がいる時代だったら、恐竜が出てきたんだろうけど。
TC42巻
「かくれん棒」
のび太 「これで家に入ったらママに怒られたりして……」 玉子  パターンマンガだから、これくらいの予知は容易いものだ。
大長編
「のび太の大魔境」
スネ夫 「あのしげみにも、むこうの草むらにも、きっとライオンが……」 ライオン
(6匹以上)
 この大長編、ライオンネタだけで話が進んでないか?
大長編
「のび太の海底鬼岩城」
のび太 「そのうちオバケイカだってきっと出てくるぞ」
「ひょっとしてもうそのへんからぼくらを……」
オバケイカ  イカの光る目がやたら怖かった。
大長編
「のび太の日本誕生」
ジャイアン
スネ夫
「俺達が求めているのはもっと男性的な冒険世界!」
「そう、野性的で原始的な」
サイ
大長編
「のび太の宇宙漂流記」
ジャイアン
スネ夫
「宇宙怪獣でも何でも出てきやがれ」 怪虫ラウミオン  F先生亡き後の大長編で観測された初のライオンネタ。
FF2巻
「いいなりキャップ」
のび太 「犬や猫はありふれていてつまんない。たとえばライオンとか」 ライオン  ライオンだって、この漫画の中じゃ十分ありふれてますよ。
FF29巻
「きんとフード」
のび太 「出て来い、出て来い、雲、こいこい」 蜘蛛  この漫画じゃ「雲」と「蜘蛛」は同義語だから。「雨」と「飴」も…。
CS3巻
「ワープペン」
ジャイアン 「動物園が見たいぞ。とくにライオンを……」 ライオン  このように低学年向き作品でもライオンさんは気軽に登場するが、シャレにならんと思うが……。
ぼくドラ7巻
「強いペットがほしい」
のび太 「アフリカへ出発!!ライオンが早く見つかるといいね」 ライオン  これぞライオンネタ。いやあ、探せばまだまだあるもんだな。
ぼくドラ21巻
「雪男のアルバイト」
のび太 「ヒマラヤへ行って本物の雪男をつかまえよう」 雪男  どこでもドアって地名だけでなく人の位置も検索できるのか?

 他にも発見された方は、掲示板で報告して下さい。

■「ライオンの法則」がベースになっている話

 猛獣の出現理由に、秘密道具の効力は一切関係ない。これが最も重要な条件である。そもそもパターンというものはそういうものだ。”異分子”のあるなしは関係無しに、のび太は災難に遭いまくる。そのへんはてんコミ44巻収録の「サイオー馬」を読んでいただければ分かると思う。しかし、ライオンネタをベースにした秘密道具も結構ある。

「ソウナルじょう」
TC3巻
 思ったことがその通りになる。目に見える世界は飲んだ本人の幻想なのだが、物理的な空想は現実世界のこじつけとなる。3巻145ページでのび太は「人食い鮫でも出るんじゃないかしら」と空想したが、実際にはイヌに噛まれた。
「よかん虫」
TC12巻
 何か起きそうな予感がしたらこの虫が頭にとまり、その予感がほんとの出来事になる。ドラえもんいわく、「笑う門には副来る」との事。
「あらかじめ日記は恐ろしい」
TC16巻
 そんなに安直に動物園のライオンが逃げ出すもんかね。しかも日記を焼き棄てなければ確実にのび太に襲いかかってくるとは、「あらかじめ日記はおそろしい」よりも「練馬区はおそろしい」である。
「アトカラホントスピーカー」
TC37巻
 「オオカミ来たぞ!」と言ったとたんにオオカミが部屋に侵入。なんとシベリア動物園から逃げ出して来たらしい。練馬区にそんなのあるのか?
「のび太の大魔境」  「猛獣さそいよせマント」という、ライオンネタを発生させるためだけに存在するような秘密道具によって、ジャイアンがヒョウ、大蛇、サイ、ゴリラに襲われる。ちなみにこれらの猛獣は、全て42ページ1コマ目で予言済みである。

 など。まだあるはずだが、これについての報告はしなくて結構である。

■漫画技法としての「ライオンの法則」

 自分がはじめて「ライオンネタ」に出会ったのは幼稚園児の頃で、「ターザンパンツ」で突然ライオンが登場する絶妙な間や、「海底鬼岩城」での恐怖的なオバケイカの存在等、その表現技法に心が作品中に奪われてしまったのを今でもはっきりと覚えている。特にオバケイカは恐かった。
 パターンであることに気づいたのは最近になってFFランド2巻を読んでからだが、パターンであることを知らなくても、これだけ作品中に引き込まれてしまうのである。


〜「ライオンの法則」観測にご協力いただいた方々〜

影月氏・ラバンピス氏・春井風伝氏・Bokudora氏・KKK

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