ダンプカーの法則

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■頼んでもいないのに大事なものを運び去る車

 藤子不二雄ファンサークルが発行した「129.3」というドラえもん特集本の中に、藤子辞典<<原作ドラえもん編>>という辞書が載っている。そこで【ダンプカー】という単語を引いてみたら、

呼びもしないのにやってきて、頼みもしないのに大事なものを運び去る車。

 と出ていた。さすがファンサークルだと感銘を受けた。確かに作中におけるダンプカーは、登場人物の行動を妨げストーリーを複雑にする、ただそれだけのために町中をグルグル走らされ続けているのだ。

ダンプカーをはじめとする交通機関や空間移動物体の上に、不意に重要な道具や人物がのっかってしまい、そのまま運び去られるパターン

 これを「ダンプカーの法則」の定義とする。

■ダンプカー履歴

 ※肌色は作者亡き後の、スタッフによる作品。

発見場所 空間移動物体 運び去られしもの 備考
TC2巻
「タイムふろしき」
乗用車(F氏の) タイムふろしき  うらっかえしにかぶさったから、作者ご自慢の車が台無しに。
TC2巻
「かならず当たる手相セット」
ダンプカー
(荷台に砂利)
手相を消すクリーム  「大事な物を窓からポイ捨てされ、ダンプカーに運び去られ相」なんて手相はなかったはず。のび太が勝手に不幸な目に遭っているだけ。
TC5巻
「どこでも大砲」
新幹線 のび助  新幹線の上に乗っているというよりむしろ理屈の上にだけ乗っているような気がするよ。この「どこでも大砲」はよく「どこでもドア」や「プッシュドア」等と同じ空間移動用の道具に分類されがちだが、移動させる人物を適当にぶっ放して、後はパターンの流れに任せるだけの「パターン便乗機」である。
TC27巻
「のび太の調教師」
乗用車 はる夫の本  20世紀でのトリッキーなやりとりは、車の背中を使うしかないという法則がよく出ている。
TC35巻
「ドラえもんに休日を!!」
ダンプカー
(荷台に砂利)
のび太  おそらく裏山の造成による残土処分車だと思われる。身近な人がいなくなったら残土処分場に問い合わせてみるがよい。
TC36巻
「アドベン茶で大冒険」
ハチ
ハシゴ
ラジコン
銀行強盗
クレーン
ダンプカー
のび太
のび助
 登場人物の予想をどんなに上回ろうと、所詮はパターンの一角にすぎない。ジャイアンや犬に追っかけ回されるパターンの一回り上に、ハチに追われてハシゴに運ばれるパターンがあり、更にその一回り上にはラジコンや強盗に追われてクレーンに持ち上げられダンプカーに連れ去られるパターンが…。「外は危ない、出ちゃいかんぞ!」ってそりゃパターンマンガだから。
TC37巻
「ドッキリビデオ」
乗用車 ドッキリビデオの看板  はたしてこれは道具の効力が関係しているのかいないのか。極めて判定が難しいのだ。ここは皆様の意見を待つしかない。ドラえもん原作七不思議のひとつとして記憶しておいていただきたい。
TC38巻
「ききめ一番やくよけシール」
スネ夫のスケボー ジャイアン  恐ろしく小規模だけど、れっきとしたダンプカーネタだ。空からは電気工事用ヘルメットがふってくるし、もう世の中パターンだらけ。
創世日記
55ページ
ダンプカー
(ちり紙交換)
買ったばかりのスネ夫のマンガどっさり
(一冊も読んでいない)
 「まいどおなじみちり紙交換」の「まいどおなじみ」の意味がだんだん分かってきたような気がするよ。
映画原作
「がんばれ!ジャイアン!!」
トラック ジャイ子のスケッチブック  「ダンプカーの法則」を本当に意識していたのか、はたまた無意識のうちに模倣してしまったのかは分からないが、これは完璧だ。

 他にも発見された方は、掲示板で報告して下さい。

■運命はダンプカーにて運ばれる

 ダンプカーネタは、秘密道具が登場人物の運命を操る系の話に登場する確率が高いようだ。ある登場人物をA点からB点へと強引に移動させるには、20世紀の街ではどうしてもダンプカーの動力が必要なのである。


〜「ダンプカーの法則」観測にご協力いただいた方々〜

Dai-chan氏・KKK

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